妊娠中に発熱したらどうする?風邪・インフルエンザの受診目安と過ごし方
「妊娠中に熱が出たけれど、家で様子をみてもいいのかな?」
「風邪かインフルエンザかわからないときは、どこへ連絡すればいい?」
妊娠中の発熱は、体温の数字だけで緊急度を判断するのが難しいものです。まずは体温と症状を確認し、かかりつけの産婦人科や発熱患者に対応する医療機関へ受診前に電話で相談しましょう。特に、38℃以上の発熱、息苦しさ、水分がとれない状態、出血や規則的なお腹の張りがあるときは、早めの連絡が必要です。
この記事では、妊娠中に熱が出たときの行動、受診を急ぎたいサイン、自宅での過ごし方、薬を使う前に確認したいことをまとめます。
妊娠中に熱が出たら、まずすること
つらいときに慌てないよう、次の順番で確認してみましょう。
- 体温を測り、測った時刻をメモする
- 咳、のどの痛み、鼻水、頭痛、関節痛、吐き気、下痢などの症状を確認する
- 出血、腹痛、お腹の張り、水っぽい液体、胎動の変化がないか確認する
- 少量ずつ水分をとり、横になって休む
- 受診前に、かかりつけの産婦人科や対応できる医療機関へ電話する
厚生労働省は、妊婦に発熱などの症状があり受診を希望する場合、直接医療機関へ行く前に電話で相談するよう案内しています。ほかの妊婦への感染を防ぐため、産婦人科ではなく内科や発熱外来を案内されることもあります。連絡先や受診場所は地域・医療機関によって異なるため、電話で指示を確認してください。
電話では、次の内容を伝えると状況が伝わりやすくなります。
- 妊娠週数と出産予定日
- いちばん高かった体温と、発熱が始まった時刻
- 咳、のどの痛み、息苦しさ、吐き気などの症状
- 出血、お腹の張り、破水の疑い、胎動の変化の有無
- 家族や職場でのインフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の流行や接触歴
- 持病、アレルギー、現在使っている薬
当日中に医療機関へ相談したい目安
次のような場合は、診療時間内まで待てるかを自己判断せず、当日中にかかりつけの産婦人科や医療機関へ電話してください。
- 38℃以上の発熱がある
- 熱が急に上がり、強いだるさ、頭痛、関節痛、筋肉痛を伴う
- インフルエンザの人と接触したあとに、発熱や咳、のどの痛みが出た
- 発熱が続く、いったん下がった熱が再び上がる
- 咳が強くなる、呼吸すると胸が痛む、ぜんそくなどの持病が悪化している
- 排尿時の痛み、頻尿、背中や脇腹の痛みがある
- 嘔吐や下痢が続き、いつものように飲んだり食べたりできない
妊婦はインフルエンザにかかると重症化しやすいとされ、早めの治療が大切です。日本産科婦人科学会のガイドラインでは、妊娠中や分娩後2週間以内にインフルエンザ様症状が出た場合、症状が始まってから48時間以内の治療開始が重症化予防につながると説明されています。
「検査で陽性になってから連絡しよう」と待たず、急な発熱や強い全身症状がある時点で相談しましょう。検査を行うか、どの薬を使うかは医師が症状や妊娠週数をみて判断します。
すぐに連絡・受診したい危険なサイン
次の症状がある場合は、夜間や休日でも産院や救急相談へ連絡してください。意識がおかしい、呼吸が苦しく会話が難しいなど、緊急性が高いと感じる場合は119番を利用します。
- 息苦しい、胸が痛い、唇の色が悪い
- 意識がぼんやりする、受け答えがおかしい、立っていられない
- 水分をほとんどとれない、何度も吐く、尿が極端に少ない
- 強い腹痛や背中の痛みがある
- 性器出血、水っぽい液体が流れ続ける、規則的なお腹の張りがある
- 胎動を感じる時期に、いつもより明らかに少ない・弱い
- けいれんがある、急に症状が悪化した
発熱は風邪やインフルエンザだけでなく、肺炎、尿路感染症、腎盂腎炎などでも起こります。妊娠に関する症状を伴うときは、熱の高さにかかわらず産院へ連絡しましょう。
自宅で待つ間の過ごし方
医療機関から自宅で待つよう案内された場合は、無理に家事や仕事をせず、休養を優先します。
水分は少しずつ、回数を分ける
水、お茶、スープなど、飲みやすいものを少量ずつとりましょう。吐き気があるときは、一度にたくさん飲むより、ひと口ずつ回数を増やすほうが続けやすくなります。食欲がないときは食事を無理に詰め込まず、まず水分を保つことを優先してください。
口の中が強く乾く、尿の回数が減る、立つとふらつくといった症状は脱水のサインになることがあります。飲めない状態が続くときは、再度医療機関へ連絡しましょう。
室温と衣服を心地よく整える
厚着をしすぎず、寒気がある間は冷えないようにし、暑く感じるときは掛け物を調整します。汗をかいたら着替え、冷やしすぎないようにしましょう。氷水で全身を冷やしたり、無理に汗をかこうとしたりする必要はありません。
家族にうつさない工夫をする
できる範囲で部屋を換気し、手洗いと咳エチケットを心がけます。タオルやコップの共用は避けましょう。マスクを着ける場合も、息苦しさが増すときは無理をせず、距離や換気で調整してください。
解熱剤・風邪薬を使う前に確認したいこと
妊娠中は、市販の解熱剤や総合感冒薬を自己判断で追加しないことが大切です。国立成育医療研究センターは、アセトアミノフェンが妊娠中の痛みや発熱に対する第一選択として使われている一方、服用は治療上の必要性を判断して行うと案内しています。
ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬は、妊娠後半に使うと赤ちゃんへ影響する可能性があります。また、総合感冒薬には複数の成分が含まれ、すでに飲んでいる薬と成分が重なることもあります。
- 妊娠前にもらった薬や、家族の薬を使わない
- 商品名だけでなく、成分名と含有量を確認する
- すでに服用した場合は、商品名・量・時刻をメモして相談する
- 処方薬を自分の判断で中止しない
薬について迷うときは、妊娠中の薬の確認方法と相談先も参考にしてください。
風邪・インフルエンザを予防するには
すべての感染を防ぐことはできませんが、日常では次の対策が役立ちます。
- 帰宅後や食事前に手を洗う
- 人が多い場所では、混雑する時間帯を避ける
- 室内をこまめに換気する
- 睡眠と休養を確保する
- 家族に症状があるときは、タオルや食器の共用を避ける
妊娠中のインフルエンザ予防接種については、接種できる時期や副反応、接種後の過ごし方で詳しくまとめています。
よくある質問
Q. 37℃台でも産婦人科へ連絡したほうがいいですか?
普段の体温やほかの症状によって判断が変わります。37℃台でも、息苦しさ、水分がとれない、強い腹痛、出血、規則的なお腹の張り、胎動の変化がある場合は早めに連絡してください。症状が軽くても不安があるときは、次の健診まで待たず電話で相談してかまいません。
Q. 熱が出ると、すぐ赤ちゃんに影響しますか?
発熱したという事実だけで、すぐに赤ちゃんへ異常が起きるとは限りません。ただし、熱の原因、続いた時間、妊娠週数、脱水や呼吸状態などを合わせてみる必要があります。高い熱が続くときは我慢せず、早めに医療機関へ相談してください。
Q. 自宅の検査キットが陰性なら、受診しなくても大丈夫ですか?
検査の時期によっては、感染していても陰性になることがあります。陰性でも高熱や強い症状が続く場合、妊娠に関する警告サインがある場合は、結果だけで判断せず医療機関へ連絡してください。検査キットを使ったときは、製品名、検査時刻、結果を伝えましょう。
まとめ
妊娠中に熱が出たときは、体温の高さだけで様子見を決めず、症状と妊娠経過を合わせて確認することが大切です。
- 体温、症状、妊娠週数をメモし、受診前に電話で相談する
- 38℃以上の発熱や、急な強い全身症状は当日中に連絡する
- 息苦しさ、水分がとれない、意識の変化、出血・破水の疑いはすぐ相談する
- 自宅では少量ずつ水分をとり、家事や仕事を休む
- 解熱剤や風邪薬は自己判断で選ばず、医師や薬剤師へ確認する
「大げさかも」と遠慮する必要はありません。連絡するか迷うときも、まずは産院や地域の相談窓口へ電話し、安全な受診先とタイミングを確認しましょう。
参考にした情報
- 厚生労働省「令和7年度 急性呼吸器感染症(ARI)総合対策に関するQ&A」
- 厚生労働省「感染対策・健康や医療相談の情報」
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
- 国立成育医療研究センター「妊娠中のお薬Q&A」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。症状や妊娠経過に不安がある場合は、かかりつけの医師・助産師へ相談してください。
