妊娠中の薬は飲んでも大丈夫?市販薬・処方薬の確認方法と相談先
「妊娠に気づかず薬を飲んでしまったけれど、赤ちゃんは大丈夫?」
「風邪や頭痛がつらいとき、市販薬を使ってもいいのかな」
妊娠中に薬が必要になると、飲むことにも、飲まないことにも不安を感じますよね。妊娠中の薬はすべて禁止されているわけではありません。一方で、市販薬だから安全、少量なら大丈夫とも言い切れず、薬の種類や量、使った時期、治療している病気によって判断が変わります。
この記事では、妊娠中に薬を飲んでしまったときの確認手順、処方薬や市販薬との付き合い方、医師・薬剤師へ相談するときに伝えたいことをまとめます。
妊娠中の薬は「一律にだめ」ではありません
妊娠中でも、病気の治療や症状の悪化を防ぐために薬が必要なことがあります。使える薬がある一方、妊娠中は避けたい薬や、妊娠時期によって注意が必要な薬もあります。
大切なのは、薬の名前だけで自己判断せず、次の点を合わせて確認することです。
- 薬の成分と剤形(飲み薬、貼り薬、塗り薬、点眼薬など)
- 1回の量、使用回数、使用した期間
- 使用した日と妊娠週数
- 治療中の病気と、薬をやめた場合の影響
- 一緒に使っている薬やサプリメント
厚生労働省も、妊娠がわかったことだけを理由に薬を自己判断で中断すると、病気が悪化し、かえってお母さんや赤ちゃんへ影響することがあると案内しています。処方薬を続けるか、変更するか、中止するかは、処方した医師や産婦人科医、薬剤師と相談して決めましょう。
妊娠中に薬を飲んでしまったときの4ステップ
1. まず、薬と服用状況を確認する
慌ててパッケージや薬袋を捨てず、次の内容をメモしましょう。
- 商品名と成分名
- 1回に飲んだ量
- 飲んだ日時と回数
- 最後に飲んだ時刻
- 現在の妊娠週数、または最終月経の開始日
- 服用後に起きた体調の変化
市販薬は箱や添付文書、処方薬は薬袋やお薬手帳が手がかりになります。商品名が同じように見えても、シリーズによって成分が異なることがあるため、現物や写真を残しておくと確認がスムーズです。
2. 自分だけで「安全」「危険」と決めつけない
妊娠中の薬の影響は、成分だけでなく、使用した量や期間、妊娠時期でも変わります。「妊婦は相談」と書かれているだけで重大な影響が決まったわけではなく、反対に、以前使えた薬が今回も使えるとは限りません。
インターネットの体験談や、家族が使っていた薬を判断材料にせず、個別の状況を専門家に確認しましょう。
3. 処方した医師・産婦人科・薬剤師へ連絡する
処方薬なら処方した医師または調剤した薬剤師へ、市販薬なら購入した薬局の薬剤師へ相談します。あわせて、かかりつけの産婦人科にも妊娠週数と服用状況を伝えましょう。
次の服用時刻が迫っている場合も、持病の薬を急に中止せず、できるだけ早く処方元や薬剤師へ確認してください。診療時間外にどうするかは、かかりつけ医から受けている案内を優先します。
4. 多く飲んだ、強い症状がある場合は急いで相談する
決められた量を大きく超えて飲んだ、複数の薬を重ねて飲んだ、呼吸が苦しい、顔や唇が腫れる、意識がぼんやりするなどの症状がある場合は、通常の予約日を待たずに医療機関へ連絡してください。呼吸困難や意識障害など緊急性が高い症状があれば119番へ連絡します。
市販薬なら妊娠中も使える?
薬局やドラッグストアで買える薬にも、妊娠中に使用できないものや、時期によって注意が必要なものがあります。「処方箋がいらないから」「以前も飲んだから」という理由だけで選ばないようにしましょう。
市販薬を購入するときは、薬剤師へ次のことを伝えます。
- 妊娠中であることと妊娠週数
- いつから、どのような症状があるか
- 発熱、痛み、出血、お腹の張りなどの有無
- 持病、アレルギー、現在使っている薬
- すでに試した薬があるか
総合感冒薬など複数の成分を含む薬は、別の薬と成分が重なることがあります。家にある薬を組み合わせたり、処方薬に市販薬を追加したりする前にも確認が必要です。
貼り薬・塗り薬・点眼薬も薬として確認を
飲み薬でなくても、貼り薬、塗り薬、点眼薬、点鼻薬、うがい薬などには医薬品成分が含まれます。体に入る量や注意点は製品ごとに違うため、「外用だから大丈夫」と決めず、商品名と成分を伝えて相談しましょう。
解熱鎮痛薬は成分を確かめて
発熱や頭痛、腰痛などで使う解熱鎮痛薬は、妊娠中に相談の多い薬のひとつです。
国立成育医療研究センターの「妊娠中のお薬Q&A」では、アセトアミノフェンは妊娠中の痛みや発熱に対する第一選択として使われていると案内されています。ただし、症状の原因や持病、ほかの薬との重なりによって判断は変わるため、用量を自己調整せず、主治医や薬剤師へ確認してください。
一方、ロキソプロフェンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、妊娠期の後半に使うと赤ちゃんへ影響する可能性があります。以前処方された薬や市販薬を自己判断で使わず、貼り薬を含めて成分を確認しましょう。
痛みや発熱が続くときは、薬を選ぶだけでなく原因の診察が必要な場合があります。高熱、強い頭痛、息苦しさ、繰り返す嘔吐、お腹の張りや出血などを伴う場合は、産婦人科へ連絡してください。
処方薬は自己判断で中止しない
喘息、てんかん、高血圧、糖尿病、甲状腺の病気、こころの病気など、継続的な治療が必要な方は、妊娠がわかった時点で処方した医師と産婦人科医の両方へ伝えましょう。
薬を急にやめることで症状が悪化する場合があります。妊娠中に使った実績のある薬へ変更する、量を調整する、検査をしながら継続するなど、選択肢は一人ひとり異なります。受診先が複数あるときは、お薬手帳を毎回持参し、薬局もできるだけ一本化すると、重複や飲み合わせを確認してもらいやすくなります。
サプリメントや漢方薬も一緒に伝えよう
サプリメント、健康食品、漢方薬、生薬も、妊娠中なら量や成分の確認が必要です。「自然由来だから安全」とは限りません。
特に複数のサプリメントを使うと、ビタミンやミネラルを重ねてとることがあります。国立成育医療研究センターは、配合ビタミン剤に妊娠中の大量摂取を避けたいビタミンAが含まれる場合があると案内しています。商品名、1日量、成分表示がわかる写真を、産婦人科医や薬剤師に見せてください。
相談するときに伝えるチェックリスト
電話や受診の前に、次の情報を手元に揃えておくと相談しやすくなります。
- 妊娠週数と出産予定日
- 薬の商品名・成分名・剤形
- 1回量、使用回数、使った日時と期間
- 薬を使った理由と現在の症状
- 持病、アレルギー、これまでの妊娠経過
- ほかの処方薬、市販薬、サプリメント
- 薬の箱、薬袋、添付文書、お薬手帳
「いつ飲んだかわからない」ときも、わかる範囲で大丈夫です。曖昧だからと相談をためらわず、記憶にある内容をそのまま伝えましょう。
妊娠中の薬について相談できる場所
まずは、薬を処方した医師、かかりつけの産婦人科医、調剤・販売した薬剤師へ相談します。
より詳しい情報が必要な場合は、厚生労働省事業の「妊娠と薬情報センター」と全国の拠点病院でも相談を受け付けています。申し込み方法は公式サイトで確認できます。また、PMDA(医薬品医療機器総合機構)のサイトでは、患者向け医薬品ガイドや添付文書を検索できます。ただし、検索結果だけで服用の継続や中止を決めず、医師や薬剤師と一緒に判断しましょう。
よくある質問
Q. 妊娠に気づく前に薬を飲みました。すぐ赤ちゃんへ影響しますか?
薬を飲んだ事実だけで、赤ちゃんへの影響が決まるわけではありません。薬の種類、量、使用期間、妊娠時期などを確認して判断します。まず薬の現物や記録を残し、産婦人科医や薬剤師へ相談してください。
Q. 産婦人科以外でもらった薬は飲めますか?
歯科、皮膚科、精神科、内科などで処方された薬も、妊娠中であることを伝えたうえで確認します。処方した医師と産婦人科医で情報を共有できるよう、お薬手帳や診療情報を持参しましょう。
Q. 症状がつらくても、相談できるまで我慢したほうがいい?
我慢して病気が悪化することも望ましくありません。薬を使わない方法を含め、症状と妊娠週数に合う対処を医療機関や薬剤師へ早めに相談しましょう。強い症状や妊娠に関する心配なサインがある場合は、薬局だけで済ませず受診してください。
まとめ
妊娠中の薬はすべて禁止ではありませんが、市販薬を含めて一律に安全とも言えません。
- 薬の名前、量、日時、妊娠週数を記録する
- 妊娠がわかっても処方薬を自己判断で中止しない
- 市販薬や外用薬も、使用前に成分を確認する
- 解熱鎮痛薬は種類によって注意点が異なる
- 医師、産婦人科医、薬剤師へ早めに相談する
「飲んでしまった」と気づくと、自分を責めたくなるかもしれません。でも、今から正確な情報を揃えて相談することが、いちばん大切な一歩です。薬の箱やお薬手帳を手元に置き、ひとりで抱え込まず専門家へつないでくださいね。
参考情報
- 厚生労働省「妊娠と薬」
- 国立成育医療研究センター「妊娠中のお薬Q&A」
- 国立成育医療研究センター「妊娠と薬情報センター」
- PMDA「市販のくすりを使用する場合の注意」
- 日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会「産婦人科診療ガイドライン―産科編2023」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。薬の使用、継続、変更、中止は、医師・薬剤師の指示を優先してください。