妊娠中の出血は大丈夫?色・量の見方とすぐ受診したいサイン
「下着に血がついているけれど、赤ちゃんは大丈夫?」 「茶色なら様子を見てもいいのかな?」
妊娠中に出血を見つけると、流産などを思い浮かべて不安になりますよね。妊娠初期の少量出血は珍しくありませんが、出血の見た目だけで原因や緊急度を決めることはできません。妊娠後期の出血や、強い腹痛・ふらつきを伴う出血には、急いで対応が必要な病気が隠れていることもあります。
この記事では、妊娠中の出血で考えられること、すぐに受診したいサイン、医療機関へ伝えるポイントを時期別にまとめます。
妊娠中の出血は珍しくない?
妊娠初期の性器出血は、比較的よくみられる症状です。子宮の入口である子宮頸部が刺激されて出血したり、胎盤になる組織の近くに血液がたまる「絨毛膜下血腫」が見つかったりすることがあります。
一方で、出血は流産、異所性妊娠(子宮外妊娠)、切迫早産、前置胎盤、常位胎盤早期剥離などでも起こります。少量だから必ず安全、鮮血だから必ず異常とは限りません。まずは妊娠週数と、出血量、痛みや張り、体調の変化を一緒に確認することが大切です。
まず確認したい出血の色・量・症状
慌てているときは、次の4点だけでも確認しておくと、電話で状況を伝えやすくなります。
- 色:ピンク、茶色、赤色、暗い赤色など
- 量:拭いた紙につく程度、下着につく、ナプキンが必要、短時間でナプキンがいっぱいになるなど
- 続き方:いつ始まったか、続いているか、増えているか、血のかたまりがあるか
- ほかの症状:腹痛、腰痛、お腹の張り、破水感、発熱、ふらつき、胎動の変化など
茶色い出血は、時間がたった血液であることが多いものの、色だけでは受診の必要性を判断できません。赤色でもごく少量のことがあれば、茶色でも繰り返すことがあります。「何色か」だけでなく、量や痛み、妊娠週数も伝えましょう。
【緊急度別】いつ受診すればいい?
受診の基準は妊娠週数やこれまでの経過によって変わります。あらかじめ産院から指示を受けている場合は、その指示を優先してください。
救急要請も考えたいサイン
次のような症状がある場合は、かかりつけの産婦人科へ至急連絡し、つながらない場合や動けないほどつらい場合は119番を利用してください。
- 短時間でナプキンがいっぱいになるほどの出血、または出血が急に増えている
- 我慢できない、または強くなっていく腹痛
- ふらつき、冷や汗、息苦しさ、意識が遠のく感じがある
- 妊娠初期の出血に、片側の強い下腹部痛や肩先の痛みがある
妊娠初期に出血と強い痛み、肩先の痛み、失神しそうな感覚がある場合は、異所性妊娠による腹腔内出血の可能性もあります。自分で運転せず、周りの人や救急車を頼りましょう。
すぐ産婦人科へ連絡したいサイン
- 月経のような量の出血、または血のかたまりが出た
- 出血とともに強い腹痛や規則的なお腹の張りがある
- 水っぽい液体が流れる、破水したように感じる
- 発熱、悪臭のあるおりもの、強い気分不良がある
- 胎動を感じる時期で、いつもより明らかに少ない・弱い
- 妊娠中期・後期に出血した
- 前置胎盤を指摘されていて出血した
こども家庭庁の情報では、妊娠後期の性器出血は常位胎盤早期剥離の可能性があるため、すぐに医療機関を受診するよう案内されています。夜間や休日でも、翌日まで待たずに連絡しましょう。
少量でも自己判断せず相談を
妊娠初期に、拭いた紙につく程度の少量出血だけで、痛みがない・軽い場合は、医療機関から自宅で様子を見るよう案内されることもあります。ただし、妊娠の場所がまだ確認できていない時期や、出血を繰り返す場合は診察が必要になることがあります。
受診すべきタイミングは一人ひとり違うため、少量でもまずはかかりつけの産婦人科へ電話し、妊娠週数と症状を伝えて指示を受けると安心です。
妊娠時期によって考えられる原因
妊娠初期(妊娠15週ごろまで)
妊娠初期は少量出血がみられることがあります。出血したからといって、必ず流産というわけではありません。
ただし、出血や腹痛があり、赤ちゃんが子宮内で生存している状態を「切迫流産」と呼びます。また、受精卵が子宮内以外に着床する異所性妊娠でも、出血と下腹部痛が起こることがあります。
超音波検査では、妊娠の場所、赤ちゃんの心拍、出血の原因になりそうな血腫などを確認します。妊娠週数が早いと一度で判断できず、日をあけた超音波検査や血液検査が必要になることもあります。
妊娠中期(妊娠16〜27週ごろ)
子宮頸部からの出血など比較的軽い原因もありますが、出血は切迫早産のサインになることがあります。お腹の張りや下腹部痛、腰痛、水っぽい液体を伴う場合は、すぐに産婦人科へ連絡してください。
痛みがなくても出血した場合や、少量でも繰り返す場合は放置せず相談しましょう。
妊娠後期(妊娠28週以降)
妊娠後期の出血では、前置胎盤や常位胎盤早期剥離など、母体と赤ちゃんの両方に影響する病気を除外する必要があります。
前置胎盤では、痛みがないまま突然出血することがあります。常位胎盤早期剥離では、出血のほか、持続する腹痛や腰痛、お腹が硬い感じ、胎動の変化がみられることがあります。外に出る血液が少なくても、子宮内で出血している場合があるため、見た目の量だけで判断できません。
出産予定日が近い時期には、粘り気のある少量の血液が混じった「おしるし」のこともあります。ただし、おしるしかどうかを自分で見分けるのは難しいため、産院へ連絡して指示を受けましょう。
出血に気づいたら受診までにすること
1. ナプキンを当てて量の変化を見る
清潔な生理用ナプキンを当てると、出血の色や量、増え方を確認しやすくなります。タンポンは使わず、出血が止まるまで性交や膣内に何かを入れることは控え、医療機関の指示を待ちましょう。
2. 横になり、電話で指示を受ける
出血に気づいたら作業や外出を中断し、転倒しない安全な場所で休みましょう。ただし、安静にすれば流産を確実に防げるということではありません。連絡が必要な症状を、休んで様子を見るだけにしないことが大切です。
3. 診察券と母子健康手帳を準備する
受診を案内されたときにすぐ動けるよう、診察券、母子健康手帳、保険証やマイナ保険証、服用中の薬がわかるものを準備します。出血が多い、痛みやふらつきがある場合は、自分で運転しないでください。
電話で伝えるとよいこと
産婦人科へ電話するときは、次の順で伝えるとスムーズです。
- 名前、診察券番号、妊娠週数
- 出血が始まった時刻、色、量、増減
- 腹痛や張り、破水感、発熱、ふらつきの有無
- 胎動を感じる時期なら、いつもとの違い
- 前置胎盤など、妊娠経過について伝えられていること
出血のついたナプキンを撮影しておくと、量や色を説明しやすい場合があります。持参するかどうかは、産院の指示に従いましょう。
よくある質問
Q. 茶色い出血なら心配ありませんか?
茶色は時間がたった血液であることが多いですが、安全だと断定はできません。少量でも繰り返す、痛みや張りがある、妊娠中期・後期である場合は早めに連絡してください。
Q. 診察や性交のあとに少量出血しました
妊娠中は子宮頸部の血流が増え、刺激で少量出血することがあります。しかし、原因を自分で決めつけるのは禁物です。出血が増える、続く、痛みを伴う場合はすぐに相談し、少量でも産院へ状況を伝えましょう。
Q. 出血したのは動きすぎたせいですか?
出血を自分の行動のせいだと責める必要はありません。妊娠初期の流産の多くは、安静や日常の行動だけで防げるものではないとされています。原因を確かめるためにも、まず医療機関へ相談してください。
まとめ
妊娠中の出血は初期に比較的よくみられますが、色や量だけで安全かどうかを判断することはできません。
- 妊娠週数、出血の色・量・続き方、痛みや張りを確認する
- 大量出血、強い腹痛、肩先の痛み、ふらつきは緊急対応を考える
- 妊娠中期・後期の出血は、少量でもすぐ産婦人科へ連絡する
- ナプキンで量を確認し、自分で運転せず、医療機関の指示を受ける
「これくらいで電話していいのかな」と遠慮しなくて大丈夫です。出血に気づいたら、かかりつけの産婦人科へ状況を伝え、お母さんと赤ちゃんの安全を優先してくださいね。
参考情報
- こども家庭庁「妊娠・出産」
- 日本産科婦人科学会「流産・切迫流産」
- 日本産科婦人科学会「前置胎盤」
- 国立成育医療研究センター「妊娠中の出血!切迫流産っていったい何??」
- 米国産科婦人科学会(ACOG)「Bleeding During Pregnancy」
※この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療に代わるものではありません。受診の必要性や過ごし方は、かかりつけの医療機関の指示を優先してください。