子どもが耳を痛がるときは?中耳炎のサイン・おうちケア・受診の目安
夜になって子どもが急に「耳が痛い」と泣き出したり、赤ちゃんがしきりに耳を触って機嫌が悪くなったりすると、すぐ病院へ行くべきか迷いますよね。風邪のあとに耳を痛がるときは、急性中耳炎の可能性があります。
ただし、耳を触るしぐさだけで中耳炎とは限りません。耳あかによるかゆみや外耳道の炎症などでも似た様子が見られ、診断には医師が鼓膜を確認する必要があります。
この記事では、子どもの中耳炎で見られやすいサイン、夜間にできるケア、受診を急ぎたい症状、治療中の過ごし方をまとめます。
子どもの急性中耳炎とは?
急性中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳」に急な炎症や感染が起こる病気です。風邪などで鼻やのどに起きた炎症が、鼻の奥と中耳をつなぐ「耳管」を通って広がることで起こりやすくなります。
子どもの耳管は大人より短く、傾きもゆるやかなため、鼻やのどの影響が中耳へ及びやすいとされています。厚生労働省の手引きでは、急性中耳炎は「1歳までに75%が罹患、7歳までに40%が4回以上罹患する」頻度の高い感染症とされています。
「鼻水が長引いたあとに耳を痛がる」「風邪がよくなりかけたのに、また熱が出て機嫌が悪い」といったときは、中耳炎も考えて様子を見てみましょう。
言葉で伝えられない子に見られるサイン
大きな子どもは「耳がズキズキする」「聞こえにくい」と伝えられますが、赤ちゃんや幼児は痛みの場所をうまく説明できません。次のような変化がないか確認してみてください。
- 耳を何度も触る、引っ張る、こする
- 急に泣き出す、いつもより不機嫌になる
- 夜に何度も起きる、横になると泣く
- 発熱や鼻水、せきなど風邪の症状がある
- ミルクや食事が進まない
- 耳の穴から液体や膿のようなものが出る
- 呼びかけへの反応が鈍い、テレビの音を大きくしたがる
発熱がない中耳炎もあります。また、耳を触るだけなら、眠いときのくせや耳あかの違和感ということもあります。サインがいくつか重なる、痛がる、耳だれがある場合は、診療時間内に耳鼻咽喉科や小児科へ相談しましょう。
今すぐ受診を考えたい症状
次のような症状があるときは、夜間や休日でも医療機関へ連絡し、受診方法を相談してください。
- 耳の後ろが赤く腫れ、触ると強く痛がる
- 耳の後ろが腫れて、耳が外側へ押し出されたように見える
- ぐったりして反応が鈍い、意識の様子がおかしい
- けいれんがある
- 首が硬く、前に曲げにくそう
- 強い頭痛や繰り返す嘔吐がある
- 水分をほとんど取れず、尿が少ない
耳の後ろの腫れや耳の位置の変化は、まれですが炎症が耳の後ろの骨へ広がる「乳様突起炎」のサインになり得ます。意識がおかしい、けいれんが続くなど緊急性が高いと感じたら、119番を利用してください。
また、生後3か月未満の赤ちゃんに発熱がある、痛みがとても強い、39℃以上の発熱がある、耳だれが出ている場合も、早めの診察が必要です。判断に迷うときは、子ども医療電話相談「#8000」も利用できます。
夜に耳を痛がったときのおうちケア
子どもの意識や全身状態がよく、緊急性の高いサインがなければ、診療時間になるまで次のように見守ります。
痛みをやわらげる
以前に医師から処方された子ども用の解熱鎮痛薬があり、使い方の指示が確認できる場合は、体重に合った量と間隔を守って使用します。市販薬を使うときは、年齢に合うかを薬剤師へ確認してください。大人用の薬や、きょうだいに処方された薬は使わないようにしましょう。
少しずつ水分を取る
発熱や泣き続けることで水分が失われやすくなります。一度にたくさん飲めなくても、麦茶や水、乳幼児用の飲み物など、飲めるものを少量ずつこまめに与えます。
耳だれは入り口だけを拭く
耳だれが出たら、清潔なガーゼや柔らかいティッシュで耳の入り口をそっと拭きます。綿棒を奥まで入れたり、耳の穴を強くふさいだりしないでください。医師の指示がない点耳薬やオイルを入れるのも避けましょう。
受診時に伝えやすいよう、痛みが始まった時刻、体温、鼻水やせきの有無、耳だれの色や量、使った薬をメモしておくと役立ちます。
中耳炎はどうやって診断・治療する?
急性中耳炎の診断では、医師が耳鏡を使い、鼓膜の膨らみや中耳に液体がたまっていないかを確認します。耳が赤い、痛いという症状だけでなく、鼓膜の状態を確かめることが大切です。
治療は、子どもの年齢、痛みや発熱の強さ、耳だれ、鼓膜の状態、基礎疾患などを総合して決まります。軽症で重症化のリスクが低い場合は、痛み止めなどで2〜3日経過を見て、抗菌薬を使わないこともあります。
「中耳炎なのに抗菌薬が出なかった」と心配になるかもしれませんが、急性中耳炎は自然に改善する例も多く、抗菌薬には下痢などの副作用や耐性菌の問題があります。反対に、耳だれがある場合や症状・鼓膜所見が強い場合などは、抗菌薬が必要になることがあります。自己判断で薬を求めたり中断したりせず、医師の説明に沿ってください。
治療を始めても2〜3日で痛みや発熱がよくならない、いったんよくなってから悪化した場合は、もう一度受診しましょう。
痛くない中耳炎にも気をつけて
中耳炎には、強い痛みや発熱を伴う急性中耳炎のほかに、鼓膜の奥へ液体がたまる「滲出性中耳炎」があります。滲出性中耳炎は痛みがないことも多く、聞こえにくさから気づくケースがあります。
- 呼びかけても振り向かないことが増えた
- テレビや動画の音量を上げたがる
- 聞き返しや聞き間違いが増えた
- ことばが聞き取りにくそう、発音が気になる
このような様子が続くときは、「集中していないだけ」と決めつけず、耳鼻咽喉科へ相談しましょう。就学前の子どもでは、聞こえにくさがことばの発達に影響する場合もあるため、必要な期間は通院を続けることが大切です。
お風呂や保育園はどうする?
お風呂
高い熱がなく元気があり、医師から止められていなければ、短時間の入浴やシャワーができることもあります。ただし、耳だれがある、鼓膜に穴が開いている、鼓膜チューブが入っている場合は、耳を濡らさないほうがよいことがあります。プールを含め、診察した医師の指示を確認してください。
保育園・幼稚園
中耳炎そのものが周囲へうつるわけではありませんが、きっかけになった風邪のウイルスなどが広がることはあります。発熱や強い痛みがなく、普段どおり食べたり遊んだりできることを目安に、園のルールと医師の指示を確認しましょう。
薬を飲む時間や再診予定がある場合は、登園前に園へ共有しておくと安心です。
繰り返す中耳炎を防ぐためにできること
体のつくりや年齢によっては、気をつけていても中耳炎を繰り返すことがあります。「ケアが悪かったのかな」と自分を責めなくて大丈夫です。そのうえで、日常では次のことを意識してみましょう。
- 家族みんなでこまめに手を洗う
- 鼻水をためたままにせず、やさしく拭く
- 鼻をかめる子には、片方ずつ強くかみすぎないよう伝える
- 家の中や車内を禁煙にする
- 肺炎球菌などの定期予防接種をスケジュールどおりに受ける
- 処方された薬と再診の予定を守る
短い期間に何度も中耳炎になる、治療後も聞こえにくそうな状態が続く場合は、耳鼻咽喉科で経過をみてもらいましょう。
迷ったら、耳だけでなく全身の様子を見よう
子どもが耳を痛がるときは、痛みの強さだけでなく、意識、元気、水分、発熱、耳の後ろの腫れを確認することが大切です。緊急性の高いサインがなければ、無理に耳の中を触らず、痛みと水分をケアしながら診療時間を待ちましょう。
小さな子どもは、耳の痛みを「不機嫌」や「眠れない」といった様子で知らせることもあります。いつもと違う状態が続いたら、保護者だけで判断せず、耳鼻咽喉科や小児科へ相談してくださいね。