出産手当金はいくら・いつもらえる?月収別の目安と申請方法
「産休に入ると、毎月の収入はどうなるの?」
「出産手当金は、いくら・いつ振り込まれる?」
赤ちゃんを迎える準備には何かとお金がかかるため、給与が入らない期間を不安に感じる方も多いですよね。会社員などが出産のために仕事を休み、給与を受けられないときに生活を支えてくれるのが 出産手当金 です。
この記事では、2026年9月時点の制度をもとに、対象条件や金額の計算方法、申請から入金までの流れを整理します。
出産手当金とは?まず押さえたい3つのポイント
出産手当金は、勤務先の健康保険などから、出産する被保険者本人へ支給される給付です。出産費用を補う「出産育児一時金」とは役割が異なります。
- 対象は、会社の健康保険や共済組合の被保険者本人
- 支給額は、原則として 1日あたり標準報酬日額の3分の2
- 対象期間は、原則 出産日以前42日から出産日の翌日以後56日まで(予定日より遅れた場合、産前期間は出産予定日を基準に計算)
産休に入ると自動でもらえるわけではなく、加入している健康保険への申請が必要です。
もらえる人・もらえない人
基本的には、次の条件をすべて満たす方が対象です。
- 勤務先の健康保険や共済組合に、被保険者本人として加入している
- 出産のために仕事を休んでいる
- 休んだ期間に給与の支払いがない、または給与が出産手当金より少ない
正社員だけでなく、パート・契約社員・派遣社員でも、勤務先の健康保険に本人として加入し、条件を満たせば対象になります。
一方、配偶者などの健康保険の扶養に入っている方は対象外です。市区町村の国民健康保険には原則として出産手当金の制度がないため、自営業・フリーランスの方も通常は受け取れません。国民健康保険組合など独自の給付がある場合は、加入先へ確認してください。
支給される期間は何日分?
出産手当金の対象期間は、次の範囲で実際に仕事を休んだ日です。
- 出産日以前 42日(多胎妊娠は98日。予定日より遅れた場合は出産予定日を基準に計算)
- 出産日の翌日以後 56日
出産日は産前の期間に含まれます。予定日どおりに1人を出産し、対象期間をすべて休んだ場合は、合計 98日分 が基本です。
予定日より遅れて出産した場合は、予定日から実際の出産日までの遅れた日数も対象に加わります。反対に予定日より早く出産した場合は、実際の出産日の42日前からのうち、仕事を休んだ日が対象です。
出産手当金はいくら?計算方法を確認
協会けんぽでは、1日あたりの支給額を次の式で計算します。
支給開始日以前12か月間の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 3分の2
標準報酬月額は、毎月の基本給や各種手当などを一定の幅で区分した、社会保険料の計算に使う金額です。給与明細の総支給額と必ずしも同じではなく、賞与はこの計算に含みません。正確な金額は勤務先の人事・労務担当者や加入先の健康保険へ確認しましょう。
加入期間が12か月に満たない場合、協会けんぽでは「加入後の標準報酬月額の平均」と「32万円」を比べ、低いほうを使います。健康保険組合や共済組合に加入している方は、加入先の案内を確認してください。
標準報酬月額別の目安
予定日どおりに1人を出産し、98日間すべて休み、給与の支払いがない場合の概算です。
| 標準報酬月額の平均 | 98日分の支給額の目安 |
|---|---|
| 20万円 | 約43万6,000円 |
| 25万円 | 約54万4,000円 |
| 30万円 | 約65万3,000円 |
| 35万円 | 約76万2,000円 |
| 40万円 | 約87万1,000円 |
実際の支給額は、標準報酬月額、休んだ日数、出産日、端数処理などで変わります。厚生労働省の産休・育休中の経済的支援 かんたん試算ツールも目安づくりに役立ちます。
産休中に給与が出る場合
休んだ日に勤務先から支払われる給与が、出産手当金の1日あたりの金額以上なら、その日の出産手当金は支給されません。給与のほうが少ない場合は、出産手当金との差額が支給されます。
有給休暇の賃金だけでなく、休んでいても支給される通勤手当・住宅手当などが調整の対象になることがあります。産休中の給与や手当の扱いは勤務先へ確認しておくと安心です。
いつもらえる?申請から振込までの流れ
いちばん大切なのは、産休開始後すぐに振り込まれる制度ではないという点です。
産前・産後分をまとめて申請する場合、産後56日が終わってから申請します。そこから勤務先や医師・助産師の証明をそろえ、健康保険へ提出するため、産休に入ってから入金まで数か月空くことがあります。
協会けんぽは、書類を受け付け、審査の結果支払い可能であれば 受付日から10営業日以内に支払うと案内しています。ただし、これは勤務先へ書類を渡した日ではなく、協会けんぽが不備のない申請を受け付けた後の目安です。健康保険組合・共済組合の処理期間はそれぞれ異なります。
確認するときは、勤務先に次の3点を聞いてみましょう。
- 産前・産後分をまとめて申請するか、分けて申請できるか
- 給与の締め日後、いつ事業主証明を記入できるか
- 完成した申請書を、会社から健康保険へいつ提出するか
早めに受け取りたいときは分割申請も検討
出産手当金は、産前分と産後分などに分けて申請することもできます。ただし、分けるたびに勤務先の証明が必要です。加入先や勤務先の運用によって手間と入金時期が変わるため、産休前に相談しておきましょう。
申請方法と必要な準備
一般的な手続きは次の流れです。
- 勤務先へ産休の予定と出産手当金を申請したい旨を伝える
- 加入している健康保険の「出産手当金支給申請書」を用意する
- 本人が振込先などの必要事項を記入する
- 医師または助産師に、出産日などの証明を依頼する
- 勤務先に、休業期間と給与支払い状況の証明を依頼する
- 勤務先経由または本人から、加入先の健康保険へ提出する
協会けんぽでは電子申請または郵送で手続きできます。健康保険組合・共済組合では様式や提出方法が異なることがあるため、必ず加入先の案内を使ってください。
出産手当金を請求する権利は、仕事を休んだ日ごとに、その翌日から 2年 で時効になります。「落ち着いてから」と後回しにしすぎず、必要な証明を早めにそろえましょう。
入金までの家計をどう準備する?
予定日どおりなら、産前42日と産後56日を合わせて約3か月あります。まとめて申請する場合は、その後に書類準備と審査の時間もかかります。
出産手当金の見込額だけでなく、産休開始から初回入金までに必要な現金を確認しておくことが大切です。
- 家賃・住宅ローン、通信費、保険料などの固定費を月ごとに整理する
- 出産準備品や入院費の支払時期を確認する
- 住民税は前年の所得をもとに請求されるため、支払い分を残しておく
- クレジットカードの引き落としが多い月を把握する
- 産前産後休業中の社会保険料免除について、勤務先が手続きする時期を確認する
出産手当金の後には、条件を満たせば育児休業給付金へつながります。入金時期を含めた全体像は、「育児休業給付金はいくら?入金タイミングと申請の流れガイド」も参考にしてください。
よくある質問
Q. 出産育児一時金と両方もらえますか?
A. 条件を満たせば両方受け取れます。出産育児一時金は出産費用の負担を軽くする制度、出産手当金は産休で給与を受けられない期間の生活を支える制度です。出産育児一時金については、「出産育児一時金はいくら?受け取り方と申請の流れ」で詳しく紹介しています。
Q. 退職後も受け取れますか?
A. 退職日までに継続して1年以上の被保険者期間があり、退職時点で出産手当金を受けているか、受けられる条件を満たしていれば、退職後も継続して受け取れる場合があります。ただし、退職日に出勤すると退職後分を受けられないなど重要な条件があります。退職を決める前に、勤務先と加入先の健康保険へ確認してください。
Q. 産休中の社会保険料はどうなりますか?
A. 健康保険・厚生年金の被保険者が産前産後休業を取得した場合、勤務先の申し出により、対象期間の本人負担分と事業主負担分が免除されます。出産手当金とは別の手続きなので、勤務先へ確認しましょう。
まとめ
出産手当金は、産休中の収入減を支える大切な制度です。
- 対象は、勤務先の健康保険・共済組合に加入する被保険者本人
- 支給額は、原則1日あたり標準報酬日額の3分の2
- 対象期間は、原則として産前42日から産後56日まで
- まとめて申請する場合は、産後56日の終了後から書類をそろえる
- 産前・産後に分けて申請できる場合もある
- 入金までの生活費と住民税などを、産休前に確保しておく
まずは勤務先へ「申請方法」「会社から健康保険へ提出する時期」「産休中に支払われる給与や手当」の3つを確認してみてください。見通しが立つだけでも、赤ちゃんを迎える前のお金の不安をひとつ減らせますよ。
参考情報
※この記事は2026年9月時点の一般的な情報をまとめたものです。実際の支給額、必要書類、提出方法、審査期間は加入先や勤務先によって異なります。申請時は勤務先と加入している健康保険・共済組合の最新情報をご確認ください。